君恋1-1

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 今度犯人を探してみようかと思いながら、俺は椅子に座って作業を開始した。  不良品の処理に客注チェック。  他のスタッフにも手伝ってもらってはいるが、最終チェックは全て店長である俺がやっている。  アンティーク雑貨を扱っていると、海外から仕入れている物は運ばれてくる間に破損してしまうこともあり、不良品が出てきやすいのだ。  パソコン画面に集中していると、隣のスタッフルームの扉が開く音がした。  休憩に出ていた日野が戻って来たのかもしれない。  パソコンに表示されているデジタル時計を見ると、十四時になろうとしていた。  案の定、数分して隣のこの事務室へ靴音が近付いてきた。 「失礼します。……あ、やっぱりココにいたんですね」  カフェ用ではなく、雑貨用のエプロンを身につけた日野が、扉を開けてひょっこりと顔を覗かせた。 「休憩お先でしたぁ」 「おかえり。――あぁそうだ、日野」  俺は彼を一瞥してある事を思い出し、呼びながら今開いているフォルダやウィンドウを閉じる。
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