931人が本棚に入れています
本棚に追加
/276ページ
これが何度も繰り返されると、流石に気になる。
(何で猫なんだ……?)
意地悪く何度も元に戻す俺もどうかと思うが、それはそれだ。
自分の事は棚に上げて、とりあえずアイツに訊いてみようと頭の片隅に記憶して、最後の仕事に取りかかった。
――トゥルルルル……トゥルルルル……
暫くして、すぐ脇にある内線電話が音を立てた。
「はい。英」
『あ! 店長すみませんっ』
「……日野? どうした」
名乗らなかったから一瞬誰だか分らなかった。
珍しく慌てた様子の日野に、俺は眉を顰めて耳を澄ませる。
『あ、あの! 清くんが女の子を泣かせちゃって! あ、違うっ、なんか呼び掛けられたみたいでそれからなんか揉めだしちゃって女の子が取り乱して、その女の子のお友達も加わって収拾つかなくなってッ』
捲し立てる言葉に大体のことは理解した。
小笠原のことをプライベート呼びする辺り、相当日野はテンパっている。
ほんの僅かだが、受話器の向こうから女の騒ぎ立てる声が聞こえてきた。
最初のコメントを投稿しよう!