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入って早々、弱り切った顔で小笠原が駆け寄って来た。
「優ちゃんごめんっ。女の子達は? 大丈夫だった??」
「ちゃんと注意してきたぞ。問題ねーからそんな顔すんな」
必要以上に近付けてくる小笠原の顔を、俺は塞がっていない方の左手で制して右手に持つ包みを彼に差し出す。
それを見下ろす小笠原の目が見開いた。
「コレ……」
「預かって来た。どうしてもお前にもらってほしいんだと」
「え? でもそれじゃあ……――」
「ルール違反だな。ま、今回は特例を出したから、これっきりだぞ? 次はお前に責任取ってもらうことになるからな」
「優ちゃん……」
安堵したのか、それとも何か感動でもしているのかジーンとした表情を浮かべて視線を寄こす小笠原の額を、俺は指先でピンと弾いた。
「だから、店長だっつってんだろッ」
「イタタ。てんちょー酷い」
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