君恋1-1

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 そこで狙われたのなら仕方がないが……。 「油断しすぎだろ。今度からはちゃんと抵抗しろよ?」 「したっスよ」 「お前は、女の子に甘過ぎるからなあ」  受け取った可愛らしい包みを開きにかかる相手に溜息を零す。 「何言ってんスかー。心配しなくても、オレは優ちゃんにも全力投球っスよ♪」 「誰も心配してねーって。全力投球って何だ」 「お。プチタルトだ。優ちゃん見て見てタルトっスよ!」  プレゼントの中を覗いて嬉しそうに声を上げる小笠原。 (まあ、あの女子高生には申し訳なさもあっただろうから、はしゃいでも無理はねーけど……) 「お前は、いつまでそう呼ぶ気だ?」  相手の頭へ片手を伸ばし、ガシガシと髪を乱してやる。 「ちょわ!? セットが崩れる! たんまたんまー!!」  慌てて髪を庇う小笠原を、ざま―見ろと鼻で笑ってやりながら、俺はガタッと椅子から腰を上げた。
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