君恋1-1

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(ちょっと待て。誰が……って、もう一人しかいねーじゃねぇか!)  しかし、腑に落ちない。 消去法で導き出された人物こそ、一番あり得ないと思っていたからだ。 (ああいう趣味だったのか? そいやぁ俺、あの人のことあんま知らないな……)  プライベートのことを話したのは数える程度な気がする。 「てんちょー? どうしたんスか? 急に黙っちゃって」 「……ああ、悪い。大したことじゃねえから。――俺今日通しでいるから、四時までに休憩もらうな」 「りょーかいです」  夕方からのカフェ開放時間に合わせて、少し遅めの昼休みを――事務処理が終わったら取ることにした。  A帯P帯の通しはキツイが、人員不足を補うためには仕方ない。  プチタルトを頬張っている小笠原を残して、俺は再び事務業に勤しむために隣の部屋へと向かった。
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