君恋1-1

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 翌日――。  正午十分前。 「店長。おはようございます」  事務室に入って来たのは大柄な男。  名前は片山大星。  俺より八つ年上で無駄口を叩かず生真面目な人だ。 「おはようございます。相変わらず時間より早い出勤ですね」  俺はパソコンから視線を上げて笑みを浮かべながら挨拶を交わす。  主にP帯勤務である彼は、既に雑貨用のエプロンを身につけていた。 「それはお互い様です」 「ハハ。まあ俺も今日は遅出だけど、ちょっと仕事が残ってしまって」 「不良品ですか?」  こっちへ歩み寄って来た片山さんが、高い位置からパソコン画面を見下ろしてくる。  俺は椅子に座っているから余計感じるのかもしれないが、かなりの高低差だ。  ずっと見上げていたら首が痛くなるだろう、絶対。 「それはさっき終わりましたよ。今はシフトを作成してて……、あ、片山さんも休み希望あったら出して下さいね。今組んじゃうんで」
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