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「なら、呼びに来てくれれば良かっただろ」
「そんな暇ないっスもん!」
「わかったわかった。――それより、学生が多いな……」
見渡すと、制服に身を包んだ学生が目立って多いように思う。
俺の発言に小笠原が軽く頷いた。
「昨日から懇談会があって、半日で終わる学校が多いみたいっスよ」
平然と言ってのける小笠原に俺は眉を顰めた。
「良く知ってるな」
「昨日の女の子も言ってたし、さっきも聞かされたんで」
「……だろうな。っつか、話聞く余裕があんなら働けッ。何が忙しいだ」
シッシッと手で追い払う。
「女の子たちの話を聞くのも仕事の内なんスよ!」
「それはお前だけだろうが」
まったく、と肩を竦めながら何気なく雑貨エリアへ視線を向けると、一瞬片山さんと目が合った気がした。
(あれ? 今、こっち見てた……よなぁ。気のせいか?)
大きな体でてきぱきと仕事をこなしていく様子に、やっぱり気のせいだったのかもしれないと俺はあまり気に止めなかった。
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