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漸く十三時を回り、最後の客を見送ってからカフェを閉めた。
「本当に今日はハードだったな。トイレに行く隙すら無いとは……」
俺が独り言ちながらテラスのテーブルを拭いていると、床掃除をしていた小笠原が濡れモップを持ったままこっちに歩いて来た。
「でしょー? 今日が休日や祝日だったらもっと大変なことになってたっスね」
小笠原の言葉には視線を上げず、ひたすら手を動かしながら頷き、溜息を零す。
「……やっぱ、人員増やした方がいいのかもなあ」
「確か夏ってフェアあったっスよね? それに向けてバイトを雇うとか!」
「バイトかー……。神条さんに連絡取ってみるか」
「オーナーに言わなくても“店長”なら好きに決めちゃっていんじゃないっスか?」
小笠原の無責任でいい加減な発言にピクリと手を止める。
「ンなわけねーだろ。もちろん面接は俺がするけど、勝手に募集をかけていい権限までは持ってねーの。分かったか?」
「わ、わかりました。そんな睨まなくても……。綺麗なお顔が台無し……、いや、逆に知的?」
コイツの思考回路は意味不明だ。
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