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接客をしている片山さんが目に留まる。
「俺もさっき、目が合ったような気がしたんだ。お前もそうなら、気のせいじゃなかったんだな」
「んー……オレは目は合ってないっスよ。ただこっちを気にしているような感じだったんで……。――片山さんと何かあったんスか?」
「!? な、なんでだよッ」
マズイ。
少しばかり過剰に反応してしまった。
そんな俺に目を瞬かせる小笠原。
嫌な汗が出そうだ。
何もなかったと言ったところでそれは嘘だし、片山さんの反応からしていつかは周りにバレるだろう。
(確かに、怒らせたのは俺だけど、これからちゃんと謝ろうと思ってたんだッ)
そんな俺の心情なんか知らない小笠原だったが、とんでもないことを口にしやがったせいで、俺は頭の中が真っ白になった。
「や、だって……あの人、店長のこと好きっスよね? だから何かあったのかなーって」
「――は?」
(誰が誰を好きだって? 片山さん? が、俺を?)
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