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ただ呆然と立ち尽くす。
(……いやいやないないないってマジで。どうしたらそうなる? 本人に聞いたのか? けどあの人別に俺に対してそんな素振り見せた事なんか一度も無かったじゃねえか)
(さっきだって俺の手、払い除けたし……)
(そもそも俺は男で――いや、俺も男を好きになったわけだけど!)
いやいや、それはもういいんだ! と首を横に振る。
(好きな相手が、俺?)
「――それはねぇだろ」
出た答えがコレだった。
だって、信じ難すぎる。
「何で?」
「何で、って……俺は男だぞ?」
モップの棒の先端に手を添えて体重を掛け、そこへ顎を乗せた小笠原が呆れたような溜息を零した。
「そんなの、関係ないんじゃないっスか? 人を好きになる気持ちって、自分でも止められないモンなんだし」
否定はできない。
でも、何で俺なのかと不思議でたまらない。
「片山さんなら、選びたい放題だろうに……なんで俺なんだ?」
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