君恋1-1

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「そんなの本人に直接聞けばいいんじゃないっスか。まあオレはもう確信してんスけどね」  この発言に訝しげに小笠原を見る。 「何で確信できるんだ……?」 「それはだって、片山さんの態度がオレらと違うから」 「態度?」 「あー、いや、態度っていうか……てんちょーを見る目が熱いっていうか……ね?」 「問われても分かんねーよ」 「とにかく! なんか優ちゃんといると空気が優しくなるんスよ。片山さんの。俺の勘に間違いはないと思うっスよ。――なんなら本人に聞いてみます?」 「え。や、ちょっと待っ――」 「片山さーん!」 「おいっ⁉」  慌てて止めに入るも、小笠原の方が早かった。  呼ばれた片山さんがこっちを振り向き、不思議そうな面持ちで近付いてくる。  小笠原は本気で訊く気なのだろうか。  俺は隣に立つ彼をチラリと見遣る。  他人事だと思ってこの状況を楽しんでいる顔だ。  コイツなら訊くだろう。絶対。 「お疲れ様です」 「あ、ああ……お疲れ様」
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