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やっと目が合ったかと思ったら、直ぐに逸らされてしまった。
(やっぱり怒ってんのか?)
片山さんの視線は小笠原に向けられた。
「何か用事か?」
「片山さんにちょっと訊きたい事があるんスけどぉ」
「ちょっと待て! 本気かおまッ――むぐ⁉」
「てんちょーは黙っててー♪」
阻止しようと思ったが、素早い身のこなしで背後を取られ、あっさりその口を小笠原の手によって塞がれてしまう。
「片山さんって」
(――⁉ バカ! 止せ‼)
もごごと喉から音は出ても声にはならず、次の小笠原の言葉に何とも言えない汗が噴き出した。
「てんちょーの事、好きっスよね?」
(っ――!)
やっとの思いで口を塞ぐ手を引っぺがす。
ゆっくり息を吸う暇もなく、俺は片山さんにぎこちない笑みを向けた。
「か、片山さん! コイツの言う事は本気にする必要ないですからね。冗談で訊いただけなんで!」
アハハと空笑いを付け足す。
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