プロローグ

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 ……――。 「てんちょー? 店長ってば!」 「んあ……?」 「んあ? じゃないっスよ。また夜更かしですか? そろそろ店開ける時間っスよ」  椅子でうたた寝していたせいか、尻が痛い。 「顔洗ってこないと、店長目当てで来たお客さん、ガッカリしちゃうんじゃないですか?」  いつの間に出勤していたのか、既に白いカッターシャツと黒のスラックスに着替え、腰か脹脛まであるソムリエエプロンを身につけて準備万端な若い男性スタッフが、端整な顔に苦笑を滲ませながらこっちを見下ろしていた。 「はあ……。俺よりお前の方が客取ってるだろ」 「それはないですね。オレは女の子限定だけど、店長は老若男女問わずモテモテじゃないっスか♪ 心配無用です」 「別に心配なんかしてねーよ」  欠伸を噛み殺しながら椅子から立ち上がり、軽くあしらう様に言葉を吐き捨ててスタッフルームを後にした。
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