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「悪い、遅れた」
襖を開けて入って来たパーマをかけて茶髪に染めた紀杜だった。
柄にもなくスーツを着ていた。
「何ていうか似合ってないな」
「違うな」
「うるせーよ。仕事だから仕方ないだろ」
ジャケットをハンゲーに掛け一番手前の席に座る。
「俺だってスーツなんか着たくなよ。謝りになんか二度と行かねー」
「内容も合ってないな」
「紀杜が謝りに行くって、おもしろいな」
「一度見てみたいな。申し訳ございませんって言ってる紀杜」
「想像すると笑う」
想像があまりにも可笑しかったのか、自然とにやけている。アルコ
ールが入っていることもあり、無理やり作っている様子はなかった。
「似合わねー」
横でにやけた顔を向ける海斗の顔を平手でビンタする。
「痛っ。何でヤバいよ」
「懐かしい」
「海斗に笑われるとウザい」
「ウザいはないよ。それより何飲む?」
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