31人が本棚に入れています
本棚に追加
6月はほとんど連絡取れずじまい。
誠実とのデートは、休日の夜。
食事だけ。
二回しか会っていない。
7月、暑さが増して。
誠実の冷たい態度は、更に度が露骨になる。
私は体力も気力すらも無くして、食事も進まなくなっていた。
何だか、急な態度に、近頃おかしいと感じていた。
それは、うちの両親も同じで。
徐々にフォローも出来ないような言葉が、家族の間で飛び交うようになっていた。
私だって、誠実に不満はある。
だけど、私以外から誠実の事を悪く言われると、悔しくて。
そんな事ない!
そうやって言い返しては、父と母と喧嘩したりするようになっていた。
その度に、私は汗をビッショリかきながら、自転車をこいで、あの場所へと向かう。
向かって、御神木に頬を寄せて、ギュッと両手いっぱいに広げて、抱き締める。
「疑ってばかり…どうして私は、愛している人を信じてあげられないの?信じる勇気をください…」
すると、葉をつたってピタリと水滴が、鼻を霞めるのだ。
…雨?
荒れ狂う私の火照りを冷ますように、悲しみの雨が静かに降り注ぐのだ。
最初のコメントを投稿しよう!