2 裏切り

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今日は帰ろう。 そうやって、私は家に帰る。 いや、むしろ。 龍神様が、わざと雨を降らして、私の心を冷まして、早く帰りなさい そうやって向けているように思えてならない。 7月の終わり頃。 2週間も先のデートを断られて、私は頭にきて、誠実には告げないで、彼の会社へと出掛けた。 7時から待って、ようやく9時過ぎに誠実が会社のビルから出て来た。 何よ! 残業だなんて、嘘。 きちんと定時で上がってるじゃない。 駆け寄ろうとした瞬間っ…。 「誠実!」 「おぉ、堀村ぁ。何、おまえも帰り?」 髪の長い、足の綺麗なミニスカートの、見るからにキャリアウーマンの女性が現れた。 「どぉ、今夜もいっぱい引っ掛けて帰らない?」 「いいねぇ。ってかさぁ、お洒落なバー見つけちゃって。そこ行くべ?」 「行くべ、行くべ」 私はビルの隙間に、ひっそりと隠れて震えていた。 夏なのに、冷や汗。 どうして、自分が隠れてしまったのかさへも、訳が分からなくなってしまった。 誠実とその女は、私の横を知らずに通り越して行った。 ようやく、歩道に出ると。 「俺のお気に入りの場所。堀村には、どうしても教えておきたくてさぁ」 「本当にぃ?じゃあ私も次回、教えちゃう」 「また俺たちだけの、秘密の場所が増えますなぁ」 「誠実ってば、鼻の下伸びてるわよ」
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