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「…この神社を後継しています。みなさんがこうして今を生かされている、楽しい毎日が送れるのは、あの時の、小さくして命を失ってしまった子どもたちの、生まれ変わりだからです。だから、ここに生まれ、ここで育ち、大人になる時に、一緒に、その悲劇の子どもたちの分までも生きて行って欲しいです。これが私からの、忘れないで欲しい大切な話です」
何度聞いても、涙が止まらない。
大人になっても、確かにこの話を思い出すと、急に涙が溢れ出していた。
きっと、この子たちも、将来そうなる事があるのだろう。
質問コーナーで、園児たちは明るく見境なく、お婆さんに言葉をかける。
「龍は怖い顔して怒ってるみたいなのに、どうして神様なんですか?」
お婆さんは笑って答える。
「君のお父さんとお母さんはどうかな?優しいばかり。笑っているばかりではないじゃろ?」
園児はモジモジして、うなずく。
「人間と同じで、何かを守る者は、怖い顔してではないと守れないのじゃ。優しいだけでは、心に伝わらない事もある。だから龍神様はいつも、子どもであるわしらを、見守っておるのじゃよ」
「はい!」
「はい、君」
「龍神様って、いつもはどこに居るの?」
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