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コンクリートジャングル、所謂都会の街から電車で1時間程かけて漸く到着するとそこには村がある。
その村は都会と比べると時代が違うんじゃないのだろうかと疑われてもおかしくない、木々や田畑など緑が多く空も広い所で、未だに全ての住居に水洗トイレが行き届いてないような場所だ。
かと言って過疎化が進んでるだとかそんな事もなく、ひょうたん型のようにくびれた形の村には沢山の住人が風景や建物には年期が入ってる物は多いけど沢山住んでいる。
都会の人間がこの村の停車駅で降りる事はまず殆どなく、この村の駅で降りる人は9割方、村民だ。
ひょうたん型の村は向かって右を注ぎ口側と例えて“入り口”と言い、逆に左を底の方に例えて“溜まり”と言う。
このひょうたん型の村は1つの村ではなく括れ部分で独立し、お互いを「隣村」と呼び合っているが括れが出来るまでは元は1つの村だった。
2つになった村の名産は入り口は布地を扱う工芸品で、溜まりは木工品。
決して仲は悪くないが、括れを更に深くするかのように流れる川が他から見ればそう取られても仕方ないのかもしれない。
この村には昔からある伝説が語り継がれていて、それは村人全員に起こるものじゃないにしろ数えれば伝説と言う割にはそれなりの者が体験する。
伝説の名を“精霊憑き”と言う。
精霊。
一般的には自然界のすべてのものに宿るとされる魂をそう呼び、自然界の精霊とはまた別として人や動物が死して魂となった姿の場合は“精霊”と書いて“しょうろう”と呼ぶ。
自然界の精霊は人間が生きていく空間の中に必ずいるもので姿は見えずとも共存する存在、見えないのは当たり前。
しかし、この村の人間は極一部ではあるがその精霊に好かれ憑かれる者が度々現れる。
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