居酒屋まるの花見狂想曲

5/67
12642人が本棚に入れています
本棚に追加
/67ページ
酒の配達をいつも通りに頼み、俺は店に。 そうか、もうそんな時期か。 「肉食べてたよ、肉!」 カウンター席で興奮しているのは木戸。 いや、おまえが食べているのは何だ? 肉だろう? 「いいなあ、お花見って。」 どうやら、公園の近くを仕事で通ったらしい。 気の早い花見客が、宴会で野外で肉を焼いていた、と。 花はどうした、花は。 木戸の場合、花見ではなく肉見。 「もうそんな時期なのよね。あー、うっとおしい。」 眉間にしわを寄せている珠美さん。 春が嫌なんだろうか。 「会社の宴会があるのよ。花見。若いのに場所取りやらせてさ。夜くらい、好きな場所で好きなもの飲み食いしたいのに、人間たら。」 その発言、会社ではしないでください。
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!