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「…お前、今何て言ったんだよ」
「いや、何と言うか…。付き合いたいって、言ってたね…」
「何で他人事みたいなんだよ。お前が言ったんだろ」
それは、驚いていたからだ。自分で言ったことなのだが、好きだと当たり前に思っていることが、どこか不思議でならなかったのだ。
「俺、男だってわかってる…か?」
不安げにカイトは聞いてくる。
「うん、さすがに…」
「じゃあ何で…」
何でだろうか。僕はカイトに、自分に生まれた感情を素直に伝えることにした。
「女の子より、カイトくんのほうがいいなって思ったんだ…」
「付き合うって、抱き合ったり手繋いだり、キスとかすんだぞ?それ俺としたいってことか?」
「…うん」
恐る恐る、カイトは僕に聞く。カイトの目を見れない。そんなことは出会って初めてだった。
「……俺のこと、好きか?」
大事な質問がきても、僕はやはりカイトから目を反らし続けた。
「好き…」
そう呟いたあと、やっとカイトの目を見た時、僕の顔はかった。
赤いのだろうか。
「カイトくんが、好きです」
僕の初恋は、同じクラスの男の子だった。
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