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この世界は夢や希望で溢れている。奇跡のように産まれた僕は、奇跡のように今まで生きてこられた。僕は自分が好きだし、周りの人も大好きだ。この世界が大好きだ。
新しく転校する中学校は、どんなところかと胸を踊らせていた。素敵な友達が出来るのだろうな。先生はどんな教え方をするのだろう。期待があった。期待しかなかった。
僕は担任に連れられ、朝のホームルームが行われる教室へと歩く。騒がしく、賑やかな教室の列を抜けていく時、心がうずうずして仕方が無かった。早く、これから仲間になる人に会いたかった。
ガラリと教室のドアを開け、担任は中に入った。僕も続けて中に入る。入る前に聴こえていたざわめきは消えたものの、そこかしこで僕を見てひそひそ話す声は聴こえる。
「皆さんおはようございます。こちらは転校生の、高瀬ハルくんです」
「高瀬ハルです!よろしくー」
僕は肩の高さで手をひらひらと振る。
僕の席は後ろの真ん中で、三つにくっつけられた机の左端だった。隣の子は女の子で、ツインテールが可愛らしい。その向こうの右端に座っていたのは男子で、丸刈りの、いかにも野球部員という感じの、明るい人だ。二人に挨拶をされ、嬉しくなりながら僕も挨拶を返す。
楽しくなるなぁ。そう思った。
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