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「落ちても、僕が受け止めてあげる!」
自信満々に言う奴に、ちょっと信頼を置いたのは誰にも言えない秘密だ。
じゃあもう一回と、俺を急かしてくるから、また仕方無く俺は順番待ちをすることにした。
跳び箱の横で、奴は俺の番を待っていた。跳んでいく他の生徒は、奴と何やら楽しそうに話して、また順番待ちに回っていく。奴は俺にだけではない。他の人間とだって仲良くやっていけるのだ。何でそんなことを思ったのかわからない。
ついに順番は回ってきて、俺はまた走った。けれどやっぱり怖くて、俺は飛び越えることが出来なかった。隣で見ていた奴に向かって言う。
「ほら、やっぱり出来ないだろ。…俺は隅っこで座って…」
「もう一回!」
やはり俺の話を聞かないで、人差し指を立てて俺の前に突き出してきた。
「もう一回」
有無を言わさない強い視線。怒っているわけではないけれど、それを感じさせる奴の目。
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