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銀座でもお手頃価格のカフェはたくさんある。
私は先程母と行きそびれたカフェに智志さんと連れだってやってきた。
「わ、可愛い」
白を基調としたテーブルや椅子、緑の観葉植物が差し色になってとても可愛いお店だった。
店員さんに連れられ、窓際の席に通された。
メニューを差し出す可愛い店員さんはチラチラと智志さんを見ている。
うん。その気持ち分かる。
イケメンだもんね~。
でもね、この人、ゲイなんだよ。
こんなイケメンがゲイだって知った時の女の子のリアクション、すっごく見たいんですけど~~~~!!!
と、心の中で叫ぶ。
心の呟きでつい、クスリと笑いを零してしまった。
「??? 楽しそうですね?」
不思議そうに智志さんがメニューから私に視線を移した。
うわ、しまった!
「ここのお店、前から来たかったので、つい嬉しくて」
更に笑顔を上塗りし、なんとか取り繕う。
「そうでしたか」
そんな私に、目を細め口角を上げて智志さんが微笑みかけた。
───うっ!!
イケメンの笑顔……破壊的です……。
確かにこの笑顔、男の人でもクラッといっちゃうの分かるわぁ。
私も智志さんも本日のオススメランチを頼み、私は頬を赤らめて去っていく店員さんを微笑ましく見送った。
「あの……千咲さんはおいくつですか?」
「私は33歳です」
30歳を過ぎてから、自分の年を言うのが少し億劫だった。
独身。しかも彼氏なし。
ご結婚は?
お子さんは?
なんて不躾にいろいろ詮索されるのも嫌だった。
でも、目の前の男性は先に職業も年齢も更には性癖まで知らされていたので、さらりと答えることができた。
それに、智志さんはふんわりとした雰囲気を持っていて、なんだか居心地がいい。
見た目ヨシ。
女性は恋愛対象外の男性。
異性なのに女友達みたいな感覚。
ゲイの友達を欲しがる女の子の気持ち、分かるなぁ。
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