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会社に着くなり、総務部の桜の元へと急ぐ。
「桜!おはよう!」
「千咲、おはよう」
桜は今日もナチュラルメイクにふわふわの長い髪を後ろに一つで束ねていた。
私はそれとは対照的で、肩甲骨辺りまである黒髪のストレート。
でも、枝毛とか毛先が痛まないように手入れは欠かさない。
「桜、聞いて!私、智志さんと友達になったの!」
「智志さん??」
「あ、この前話した、イケメンでゲイのお見合い相手」
「えぇ!?お見合い相手と友達になるって、アリなわけ??」
「私の中ではアリでした!」
もう少しで仕事開始の時間になるので、手短に昨日の話をした。
「婚約者のフリに、友達に、一泊!?
ちょ、ちょっと今、頭の中が整理付かないから、お昼に詳しく聞くわ」
「あ、でも社食はやめとく……」
また会話を盗み聞きされて噂されるのはもう勘弁だ。
「うん、じゃあ、ファルファッラは?」
「いいね、イタリアン!」
ファルファッラは会社からもほど近い、リーズナブルなイタリアンレストラン。
桜と私のお気に入りのお店の一つである。
お手頃価格で、美味しくて、女性に人気のお店だ。
桜と別れると、私は経理部の自分の席へと急いだ。
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