突然のお見合い

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この服にその化粧じゃ……ということで、デパートの化粧品売り場に連れていかれ、数点お買い上げとメイクを施してもらう。 春の新作と言われ、普段しないような淡い可愛らしい感じのメイク、そして新しい服と言うのもあり心が浮き足立つ。 「あらあら、千咲も磨けば光るのね」 なんて満足そうに微笑む母。 地味顔は私のコンプレックスでもあったけど、それは思い切り母譲りなので母も嬉しそうにしている。 そう言えばこうやって二人で出掛けるなんてずっとしてなかったな……。 最近はお母さんも色々と口うるさいから実家にすら行ってなかったし。 娘と買い物って、それだけでも母親は嬉しいものなのだろう。 「ありがとう。  今日は久しぶりに楽しい気分だよ」 私は素直に母に礼を言った。 「お腹もすいたし、ランチに行きましょう」 時刻は12時を少し過ぎたところ。 ギクシャクしていた母との関係もだいぶ矯正され、私も母も仲のいい『友達母娘』になっていた。 「うん。あ、そうだ。私、行ってみたいお店があるんだ!」 ふと思い出して母の手を取ると、母は首を横に振った。 「せっかくだし、今日はちょっと高いお店に行きましょう」
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