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「智志にお母さんの気持ち分かる!?
近所の奥さんたちに『智志君、ゲイって本当?』って聞かれるお母さんの気持ち!!
一生懸命育てた息子が、男の人とキスしてるのを見たお母さんの気持ち!!
智志に分かるのっ!?!?!?」
げ、ゲイですか………。
悦子さんの突然のカミングアウトにさすがの私も驚く。
しかも、お見合い相手のいる前でそんなことを言いだすなんて。
よっぽど腹にすえかねていたんだろう。
しかし、それを知らされて私はどうしたらいいんだ??
「ちょっと!大きな声でそんなこと言わないでください……」
急に小声になり、周りを見回し智志さんはゆっくり悦子さんから手を放した。
涙目の悦子さんに智志さんは盛大な溜息を吐くと、パッと私に視線を移した。
「ここの店じゃなんですから、二人で話しましょう」
そう言って立ち上がる。
わ、背も高い……。
そんなことを考えながら智志さんを見上げていると、母にバッグを押し付けられた。
「ほら、何やってるの!千咲、行ってきなさい」
無理やり立たされ、私はおずおずと智志さんの背中を追いかけるようにその店を後にした………。
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