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「はぁ…はぁ…」 気付かぬうちに小走りになって、息が上がっていた。 駅は、横断歩道を渡ればすぐのところ。 ……早く地下鉄に乗って、ここから離れたい。 その一心で駅を目指す私。 雨が降っているのに傘もささず、ずぶ濡れになっている。 周りの人には滑稽に見えただろう。 お気に入りの青い傘は、あの家に置いてきてしまった。 けれど、取りに戻ることはできなかった。
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