また君に溺れて

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横断歩道を渡り、地下鉄の階段を下りていく。

雨で濡れたパンプスは少し滑りやすくなっていたので、手摺を掴みながら下っていった。

階段を下りきったところで、肩に掛けていた鞄の中をごそごそとあさって、パスケースを取り出す。

改札でピッと音がして、扉が開く。

いつもと同じように、地下鉄に乗るまでの一連の動作をしているだけ。

いつもと違うことは、

雨の日なのにお気に入りの青い傘がないことと、

………彼との関係が終わったこと。