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各自が入れ終え自身の机の前へと帰った事を確認したフランス人形は、その箱の中に入れた四つ折りの紙を自身の前に設置してある机にぶちまけた。
「それじゃあ、開票するのディスー」
一人だけテンションが高いフランス人形は、各自が四つ折りにしていた紙をどんどん開いていき、票分けをしていた。
時折独り言の大きさではないだろうと言わんばかりの独り言を呟くフランス人形は、何処かとても楽しそうだった。
しかし彼女のように楽しむものは、彼女以外には存在していなかった。
私は辺りを見回す。
皆、暗い表情をしながらフランス人形の開票を待っていた。
ようやく振り分けを終えたフランス人形は、飛び跳ねながら黒板に名前を書く為にチョークを握りしめて、皆に告げた。
「さぁて、お待ちかねの開票ディスよぉー!」
はしゃいでいる彼女を他所に、皆が黒板を見つめる。
どうか自分ではありませんようにと願うかのように黒板に食い入る皆に、名前を書き終えたフランス人形が、その名前の生徒をチョークで差した。
「今回のギルティは、満場一致でこの人に決まりましたのディス!」
チョークで差された刹那、黒板に集中していた視線がいっきにその人物へと注がれる。
その人物は、口を動かすのを止め、ただただ目を見開いた。
犯した罪への罪悪感か、それともこれから始まる裁きに対しての恐怖か。
その人物の頬に伝う涙は一体、どんな感情が込められていたのか。
フランス人形はその人物の手を引き、裁きを下そうと裁きの場所へと移動する。
罪を犯した人間を裁く為だけに、私達は此処に来たの?
手を引かれる人物の背中に、そう問いかけても、これから亡き者にされる人物は何も答えはしなかった。
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