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なんとか透さんの手を振りほどいて辿り着いたのは、吉岡さんのマンションの前。
一緒に住んでいるからここしかなくて。
だけどさっきの吉岡さんを思い出すと、エントランスに入るのを躊躇う。
私の手を解いて呆然としていた姿が頭から離れない。
「やっぱり無理だよ」
部屋に帰ることを諦めて、鞄から携帯を取り出した。
『もしもし』
「もしもし、千夏?」
『うん、久しぶり』
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