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「…………それで私が自殺したことになってたんです。っ、だから、だ…から
、うっ……オロに…………私と、…、関わった…人達の、…私の記憶を…………………………………消して……もらっ……たんで…す。」
(私は、自殺なんかしてない。それに皆には悲しんで、欲しくなかった。でも、……皆はもう私の事、覚えてないんだよね。ちょっと、辛いかな……。)
美空は話してる途中から、泣き出してしまった。
ザズは泣き出してしまった、美空の頭を撫でている。
(こいつは、ミソラは強いな。)
泣き出してしまったのは、しょうがない。少し見た目が大人びて見えても、15歳の少女だ。
それでも、
オロがドジったせいで、魔物のいる場所で下ろされたこと。
逃げようとしても、熱のせいで動けなかったこと。
意識を失う前に男性の声が聞こえたこと。
最後まで話しきった。
話しきれたことに安心したのか、美空は声を上げ泣き出した。
ザズは美空を子供をあやすように抱き締め、背中をポンポンし始めた。
(そういえば昔、お父さんもしてくれたな……。)
更に泣き出してしまった。
ザズは泣き止むまで、背中をポンポンしてくれた。
「……ザズさん、ありがとうございます。もう大丈夫です。」
「おう。意識を失う前の男性の声ってやつは俺な。……ところでオロって奴、俺の知り合いかもしれない。」
ふぇっ、と美空は変な声を出してしまった。
「で、でも、オロは天使ですよ?」
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