1話 「死滅の森」

7/12
前へ
/37ページ
次へ
「…………それで私が自殺したことになってたんです。っ、だから、だ…から 、うっ……オロに…………私と、…、関わった…人達の、…私の記憶を…………………………………消して……もらっ……たんで…す。」 (私は、自殺なんかしてない。それに皆には悲しんで、欲しくなかった。でも、……皆はもう私の事、覚えてないんだよね。ちょっと、辛いかな……。) 美空は話してる途中から、泣き出してしまった。 ザズは泣き出してしまった、美空の頭を撫でている。 (こいつは、ミソラは強いな。) 泣き出してしまったのは、しょうがない。少し見た目が大人びて見えても、15歳の少女だ。 それでも、 オロがドジったせいで、魔物のいる場所で下ろされたこと。 逃げようとしても、熱のせいで動けなかったこと。 意識を失う前に男性の声が聞こえたこと。 最後まで話しきった。 話しきれたことに安心したのか、美空は声を上げ泣き出した。 ザズは美空を子供をあやすように抱き締め、背中をポンポンし始めた。 (そういえば昔、お父さんもしてくれたな……。) 更に泣き出してしまった。 ザズは泣き止むまで、背中をポンポンしてくれた。 「……ザズさん、ありがとうございます。もう大丈夫です。」 「おう。意識を失う前の男性の声ってやつは俺な。……ところでオロって奴、俺の知り合いかもしれない。」 ふぇっ、と美空は変な声を出してしまった。 「で、でも、オロは天使ですよ?」
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

54人が本棚に入れています
本棚に追加