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「ともかく、二人が無事で良かったよ。
二人とは血の繋がりは無くとも家族のようなものだからね」
「三人は一体どういう関係なのかしら?」
「ん、二人が孤児なのはもう予想出来ているだろう?
私も以前は孤児でね、二人と同じ孤児院で生活していたんだ」
もっとも、一緒に生活していたのは5年程度だが。と付け加えて、学園長は言葉を続ける。
「それでね、私は一昨年このウエスト高等学園の学園長に就任が決まって二人も入学が決まっていたからまた一緒に生活しようと思っていたんだが……」
「あたし達が断ったんだ。
ソフィ姉さんには孤児院時代に迷惑をかけたし、学園長が落ちこぼれと生活してるなんて知れたら姉さんまで糾弾されるかも知れないからな。
幸い家事はカナが出来たし、二人で寮暮らしをすることにしたんだ」
「まあ、そういうことさ。
ただ、流石に生活費の援助くらいはさせて貰ってるがね。」
レンがそう言うと、学園長(本名はソフィーと言うらしい)は困り顔を作ってもう一度肩を竦めると持っていたコーヒーカップに口をつける。
「私は何度も気にしないと言ったんだがね、二人とも譲らなくて結局今の形に落ち着いたのさ」
学園長はそう溜め息を吐くと、指を数回振る。
すると、後ろにある簡易キッチンからコーヒーが入ったポットとミルクが入ったポット、角砂糖が入った小瓶が滑るように学園長の前に飛んできた。
かなり精密な魔力操作だな。
「全く……姓くらい私のクラウドを名乗ればいいものを二人はそれすら拒否してね…姓を名乗らずカナ、レンと名前だけ名乗るようになったのだよ」
「何でまたそんなことを?」
「唯一親から貰ったこの名前を大事にしたいんだとさ」
半ば呆れたように溜め息を吐きながら、学園長はカップにコーヒーを注ぎ、ミルクを少々入れ、角砂糖を5つ程も投入する。
どうやらかなりの甘党らしい。
「ま、子どもは例え見えなくても親の影を追い掛けるものだからね。
気持ちはわからなくもないわ」
確かにミアもヒナにべったりだからな、伊邪那美の言う通りなのかもしれない。
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