落ちこぼれ姉妹

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「よし!行こうぜ!」 慈悲深いカナ様に朝食を食べさせて頂いた後、二人が学校に行くと言うのでようやく伊邪那美様にお許しを賜り、ピ○モードになるとカナの頭の上に乗り高級ホテルさながらの綺麗な廊下を進む。 【しっかし……あんまり気持ちの良いもんじゃないわね】 カナの頭の上で襲い来る眠気と激闘を繰り広げていると、不意に俺のようにレンの頭の上に乗っている白猫がそう呟いた。 【きゅるるるる(この視線か?)】 もちろんこの白猫は伊邪那美で、召喚された時のようなことが起きないようにレン達のボディーガードをするためにこの姿になったのだ。 ちなみに伊邪那美は普通に喋っているのではなく、伊邪那美が許可したものにだけ声が聞こえる仕様になっている。 許可されていないものにはただの「にゃーお」という猫の鳴き声にしか聞こえないらしい。 【そうよ、さっきからチラチラと見ながらコソコソ陰口を叩いて、こういう陰湿なのは嫌いなのよ】 伊邪那美が吐き捨てるように言うのは、部屋を出た瞬間からカナ達に纏わり付く若干の悪意が込もった視線のことだろう。 当然この学生寮には、カナ達意外にも沢山の生徒達が生活しており(ちなみにカナ達の部屋は女子専用階で、俺が今からピ○モードになっているのもそれが理由)、そろそろ始業時間で二人と同じく登校している生徒達もそれなりに居る。 と、ここまではマーレでもよくある光景なのだが、ここでは少々違った。 その生徒達は一人の例外もなくカナとレンに侮蔑、嫌悪、その他諸々の悪意が込もった視線を向けており、更にはヒソヒソと陰口を叩いている生徒達も居るのだ。 俺もマーレでは学園内で色々な視線(主に学園長に振り回されることへの同情と労い、後はリア充撲滅委員会の死線)を受けたが、二人はそれとは比較にならない程黒い視線を受け続けている。 (いつの時代も人間のすることは変わりませんね。 人を貶めて何が楽しいのやら、全く理解に苦しみます) (他人を貶めることで自分よりも下の存在がいると思い込んで矮小な自尊心を保ちたいのさ。 ま、そんなことをしても結局自分の器の小ささをアピールしているようなものなんだがね。) 前脚にはめられた金色の腕輪から届いたアリスの念話に返す。
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