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俺が剣を落とした時は死に目を見ながらフェンリルの懐に潜り込み自らの手で回収したものだが、アルマダはまさに指先一つで武器を回収してしまったのだ。
こんなものを見せられてはわざわざ必死の思いをして回収した俺の立場が無いではないか。
内心でそんな思考をしながら口をぱくぱくとさせていると、それを見たアルマダは気まずそうにその禿頭をつるりと撫で上げ、言葉を続ける。
「あー……装備品なんだがな、モンスターに奪われたり他のプレイヤーに手渡してたりしなければ装備フィギュアを操作して落とした装備を装備し直すだけで簡単に回収出来るんだ」
なんとも言えない表情で「知らなかったのか?」と言ってくるアルマダにこくこくと頷き、他の氷漬け復活組のメンバー達の方に視線を向けてみると、やはり皆一様にメニューウインドウから装備を回収していた。
あの時はルナも隣にいたのでルナの指示に従って回収したが、別にこちらの方法を教えてくれても良かったではないか。と今更ながら考え至り少し落ち込む。
「まあ、ルナにも何か考えがあったんだろう。
それよりお前は戦列に戻らないのか?HPはもう八割型回復してるみたいだが」
「無茶し過ぎたらルナに暫く休んでろって言われたんだよ。
取り敢えず六段目になるまでは休憩だ」
アルマダの問いに答えると、アルマダはなるほど、と納得したように頷く。
「確かにノンストップであれだけ動き続ければ相当神経を擦り減らすだろうしな。賢明な判断だろう」
「別に実際の身体を動かすんじゃなくて動くのはアバターなんだから良いんじゃないかとは思ったんだけどな」
「まあ、確かに現実の体は筋肉一本も動かしてないから筋肉痛になったりはしないが、あまり脳に負荷をかけすぎるとヘッドギアの安全装置が作動して強制的にログアウトさせられるんだぞ。
町や宿部屋ならいいが、ここはボス部屋だ。即時ログアウトは出来ないからデスペナを食らう可能性だってあるんだ」
憶えておけ。と締めくくったアルマダの言葉になるほど、と頷く。
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