群狼の長

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「アルマダからメッセージ?」 「私もマスターから。三回目の偵察戦が終わったからその報告だね。そっちも?」 ウインドウを確認すると、会議で知り合った偉丈夫、三帝ギルドが一角無敵の盾を率いるアルマダからのメッセージだった。 同時に届いたルナへのメッセージは生徒会長殿からのものだったらしく、ルナはメッセージを確認するとげんなりとした表情を作る。 「ああ。えっと、『三回目の偵察戦は45人で行い、10分で一段目のHPバーを半減させたところで壊滅。 敏捷性、攻撃力共に異常なほど高いが物理耐性はそれ程高くはない』………だってさ」 「随分詳しく書いてあるね……こっちなんて結果が少しと後は余計なことしか書いてないのに流石アルマダさん」 メッセージを読み上げると、既にウインドウを消していたルナが感心したように呟いた。 ここまで詳しく書いてあると実際にその場に居たのでは?というような考えまで出てくるが、流石に偵察戦に最強プレイヤーの一人が出る筈も無い。恐らくは結果の報告を聞いてアルマダが纏めたのだろう。 会議後のメッセージでもそうだったが、イメージに似合わず気配りが出来る男である。 「あ、まだ続きがあるな。 『なお、この結果を踏まえ≪楽園≫リーダーと話し合い、これ以上は有益な情報どころか甚大な被害が予想されるのでこれ以上の偵察戦は予定を変更し行わないこととなった。 情報が足りない中での戦闘となるので参戦プレイヤーは最大限の準備を整えられたし』だと。」 「偵察戦が切り上げられたなんて……六段中一段の半分しか減らせなかったなんて殆ど初見じゃない」 「これは相当慎重にいかないと俺達もヤバイかもな……」 情報が無い戦闘になるとなると持久戦も覚悟せねばなるまい。 しかも今回はルナとはパーティーが違うのでルナの魔法による回復は期待できそうにない。ポーションの類は持てるだけ持っておいた方が良さそうだ。 「とりあえず、キツくなるのは覚悟しとかなきゃいけなさそうだね」 「そうだな……まあ、俺はやれることをやるよ。 じゃあ今度こそ一回落ちるな。おやすみ」 「うん、おやすみなさい」 いい加減に眠くなってきた俺はメニューウインドウを呼び出して手早くログアウトボタンを押す。 すると次第に視界がブラックアウトしていき、ルナの声が聞こえたと同時に俺の意識は途切れた。
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