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返事をアルマダ達無敵の盾が利用する言葉に言い換えてから背中の剣を抜き放つ。
剣にはフェンリルとの激しい戦闘のせいか、メンテナンスしたばかりだというのに小さな刃こぼれや傷が幾つも入っていた。
ごめんな。ボス戦が終わったらまたメンテナンスしてやるからな。
傷付いた愛剣に内心でそう呼び掛け、俺はまずは回復役の部隊を襲っているウルフの群れに向かって走り出す。
「おおおおお!!」
丁度目についたウルフに接近し、彼我の距離が2m程の場所で剣を構え、≪アクセル・ストライク≫を発動させる。
剣が空色のライトエフェクトを帯び、体がぐんっと剣に引っ張られるように加速する。
そこでようやくウルフが疾駆してくる俺に気づき顔をこちらに向けたが、もう遅い。
俺が突き出した剣はいとも容易くウルフの横っ腹を貫き、根元までその体に埋めると、更に向こう側にいたウルフまでもを串刺しにした。
スキルが終了し、一瞬の技後硬直から脱するやいなや俺は打ち捨てるように二頭のウルフから剣を強引に引き抜き、次なる獲物へと足を向ける。
視界の端で大量の赤い光の粒子が爆散したが、今はそんなものは気にならない。
俺は直ぐに四頭のウルフが固まっている場所の中心に躍り出ると、直ぐに≪サーキュラー≫を立ち上げ体と剣を回転させる。
俺が描いた紺色の円は付近にいたウルフ四体を全て巻き込み、ウルフ達は一瞬体をびくりと震わせると一斉にその体を赤い光の粒子へと変えた。
「………よし」
いける。
その言葉を省略した呟きを一つ漏らすと、一先ずひと段落つけて血を振り払うように剣を薙ぐ。
高々十分程度でも疲労は十分に取れたようで、筋力値、敏捷性共に好調時を保てているようだ。
これならば思ったよりも早くウルフを殲滅出来るだろう。
十五体のうち六体のウルフは既に屠ったし、魔術師達を襲っている二体さえ倒してしまえば後はアルマダ達がやってくれる筈だ。
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