群狼の長

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そう考えたところでふと何気無く回復役部隊の方に視線を向ける。 「う……?」 すると、こちらを見つめる白魔術師の面々と目が合った。 別に視線くらいはもはやお馴染みのものなのでスルー出来るのだが、その視線にはいつもの好奇などの感情は一切が無かった。 あるのは、恐怖などのどちらかと言うと暗い感情。 まるで強過ぎるモンスターか異物を見るような視線に思わず上半身を引きつつも、頭ではやはりこうなったか。とどこか納得していた。 自惚れでもなんでもなく、俺のステータスは高過ぎるのだ。 このゲームの中で最高峰のステータスを持つ筈のアルマダやキース達攻略組プレイヤーのSTR値でも不可能なウルフのワンパンキルをいとも簡単にやってのけ、AGI値でもルナを大きく引き離す。更にはフェンリルの猛攻にもたった一人で耐えうるVITを持ち、スキルを幾つも使用する。 こんな化け物みたいなステータスや戦闘を目の当たりにして、むしろそうならない方が不自然というものだろう。 「ハハッ……」 視線に耐えかねた俺は自嘲する笑みを零し、逃げるようにその場を後にする。 なんのことは無い。この戦いが終わればおそらくこのパーティーと会うことも無かろう。 さっさと戦いを終わらせてしまえばこのような視線からも解放されるだろうし、別に気にする程のことでもない。 そう割り切ったところで次なる標的に足を向け、俺は剣を構え直した。
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