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なかなか陽人を忘れられずにいたこの4年。
誰を見ても心は動かなかったのに、昂生と出逢ってあっさりと恋に落ちた。
昂生とも恋人同士になるまで色々あったけど………。
恋愛のタイミングってあるんだね………。
昂生と出逢って少ししてから陽人とも再会した。
あんなに愛して、恋い焦がれて。
何年たっても陽人を思い出しては枕を涙で濡らすくらい忘れることなんてできなくて。
同じ香水の香りを感じただけで陽人じゃないかって振り返っていたのに。
もしも、昂生と出逢う前に陽人と再会していたら、今、あたしの隣にいる人は………。
───ううん。
多分、どんな経緯があったとしても、あたしの隣にいるのはきっと昂生。
絶対そうだって思える。
「それでは誓いのキスを」
神父さんの言葉に二人向き合う。
ベール越しに見える昂生はいつもに増して素敵で………。
思わずうっとりと見入ってしまいそうになる。
「愛してるよ、千波」
「………!!」
ベールを捲られキスの間際にかわされた言葉に一瞬目を見開くも、あたしの返事を聞くことなく塞がれた唇。
そっと触れるだけの優しいキス。
唇が離れて、視界に入ったのは、昂生のご両親。
二人は優しい笑みを浮かべ、あたしたちを見守ってくれている。
これからあたしの両親にもなる、大切な人たち。
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