春の嵐

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「………先輩、ブーケトス無しなんて、酷いですぅ」 披露宴に移り、あたしと昂生の写真を携帯電話に収めたところで、七海ちゃんはそう口を尖らせた。 「あ、ごめん………。  でも七海ちゃん、彼氏いたよね………?」 「別れました!  ………って、もう!忌み言葉なんか使っちゃったじゃないですか~!  こんなおめでたい日なのに~」 七海ちゃんは彼氏ができてもあまり長続きしないらしく、今現在、彼氏はいないらしい。 「健さん、紹介してもらおうと思ったのに、もう彼女いるんですね………はぁ」 以前から、何故かお兄ちゃんファンの七海ちゃんは、仲睦まじく寄り添うお兄ちゃんと里緒ちゃんを見て溜息を吐いた。 「お兄ちゃんはもうすぐ結婚するんだけど………。  あっちのテーブルはお兄ちゃんの後輩弁護士さんもいるよ」 こそっとそう教えてあげると、七海ちゃんは突然目を輝かせた。 「チャンスは向かってくる時に掴むものなんです!」 なんだかよく分からないことを言いながら、私が教えたテーブルへと向かって行った。 「面白い子だね。  時々お茶出ししてくれる子だよね?」 昂生が口元に手を当てて笑いを堪えながらあたしに囁く。 「うん。普段は頼もしい後輩なんだけどね………」 ちょっと苦笑いを零しつつ、七海ちゃんの健闘を祈った。 楽しい家族や仲間たちに囲まれて、再度幸せをかみしめた。 大切な人たちに見守られ、昂生とあたしは永遠の愛を誓った。 新しくできた優しい義父母、そしてもうすぐできる年下の義姉。 お兄ちゃんと二人で生きてきた私も、家族が増えた。 陽人との思い出は楽しくも切ないものだったけれど、これからは昂生と共に人生を歩む。 新しい未来を────
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