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春の嵐
水滴が流れ落ちる窓越しに、空へ飛び立つ飛行機を見上げる。
どうしてあなたはあたしの心に入り込んだの?
別れが必ず訪れるのを知っていたのに。
あたしのたくさんの初めてを奪い、心に“愛情”を植え付けて。
見上げていても頬を伝う涙は止まらない。
こんなに苦しい気持ちをあたしに残して、去っていったあなた。
叶うことのない約束をいくつも残して、飛び立っていったあなた。
心に残っているのは春の陽だまりみたいに穏やかな笑顔なのに。
まるで春の嵐みたいなあなた。
春の嵐はあたしの心をかき乱したまま………海の向こうへ行ってしまった。
あたしたちの進む未来は………もう交わらない。
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