第1話

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『おい着いたぞ愛』 懐かしい声がする ねぇ秀なの?ねぇ 「起きろぉぉぉぉあぁーい」 「はいっっえ?なにっ?ぁえ?」 そこにいたのはお父さんだった そしてここは車の中 なんだお父さんか 「全く何回呼んでも起きないから、 叫んでしまったじゃないか」 お父さんは少し呆れた顔で 私にそう言った 「えっ!?もう着いたの!?」 「そうよーあんたイビキかいて 寝てたわよーもー女の子なのに」 お母さんに笑いながら言われた ムカついたので 「べ、別にイビキかきたくて かいてる訳じゃないしっ」 と言い返したら 今度はお母さんお父さん どっちにも笑われた こ、この野郎ども… 絶対大人になったら 親孝行なんてするもんかっっ そーいえばそんなことより やっと着いたんだ 私たち家族は 父の転勤により 東京からこの田舎に 引っ越してきた といってもここに来るのは二回目 小学校五年生の春から 小学校六年生の夏の 少し手前くらいまでいた 頭がいいけどおとなしくて 恥ずかしがり屋の悠也 運動神経がいいけどバカで みんなのムードメーカーの秀 その当時はこの二人と家が 近かったから よく遊んだし 一番仲がよかった 楽しかったなぁ あたしが高2だから 5年も経つのかぁ あー二人に早く会いたいっ 初夏、青い空のずっと遠くに 黒い雲が近づいてきていることを 私はまだ知らなかった
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