プロローグ

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沢田 賢斗(16)は、どこにでもいる男子高校生である。 身長、体重、顔、共に平均的で、しいて特徴を挙げるなら、比較的運動神経がいいということぐらいだろう。 これで恋などでもしていれば、ある意味リア充の部類に入るのだろうが、賢斗にとって恋は必要のないものとしてカテゴリーされている。 一生のうちに結婚はおろか、恋愛などしないのではないか。 そう、最近賢斗は思っていた。 いや、悟ってしまっていた。と言った方がいいのか。 とにかく、賢斗にとって恋愛は必要ではない。 だが、恋愛というスパイスはいらない反面、賢斗は非日常を望んでいた。 何気なく朝起き、何気なく学校に行き、何気なく家に帰る。 部活に所属していない、かと言って何か趣味がある訳ではない賢斗は、この、何気なくを繰り返していた。 友達は必要最低限はいるし、ご近所付き合いも良好だ。 でも何かが足りなかった。 日々は、楽しくないといえば嘘になる。 単純に楽しい。 賢斗は心からそう思っている。 でも何かが足りない。 そしてその答えはすぐに出た。 「ああ、俺の求めているものは、単純な楽しさじゃなくて、ワクワクするような、ハラハラするような楽しさだったんだ…」
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