終章 火潰える時

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 聞き違いかと思った。まるで、それは頭の奥から響いてくるような言葉だった。 「なんでかな、お前は見てると一人で罪を背負って、一人で傷つくタイプだ。俺はそういうやつが放っておけない質でな」 「ふん、だからって、これ以上ついてこないでよ」  沙夜は、今脳裏に浮かんだ『記憶』を消し去るように、毅然と告げ、蒼空に手で合図を出した。式神は一瞬ポカンとしていたが、慌てて、手印を組んだ。先程、蒼空に教えた霊術――隠形は、精度こそチグハグながら、霊力が高かったことが幸いして、一瞬にして辺りを煙に包んだ。 「沙夜!!」  晃が叫ぶその声を耳に、沙夜は陰の界を飛んだ。 ――先に道がある限り……、  月の言葉がふと頭に浮かぶ。 ――それがどんな闇の中にある道だとしても。  けれども、と沙夜は思う。 「その道の先に、なにがあると言うの」
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