終章 火潰える時

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 眼下に広がる大地へ身を投げ出すような錯覚を覚えながら、視線を向けた。沖一真、その身に何が起きているのか、自分は警告しなくてはならない。 ――はぁ、憂鬱だ。  いっそ、ここから飛び降りてみようかとさえ、思った時だ。 「霧乃、通信が入っているぞ」  南雲の声に、霧乃は怪訝な表情になった。天城―壱は移動する司令室のようなものだから、付近の陰陽師から報告が来るのは分かる。だが、霧乃個人に、となるとまるで見当がつかない。下にいる一真達のことが頭に浮かんだが、今まさにそこへ向かっているところなのだから、わざわざ連絡が来るというのは解せない。  南雲から渡された霊符に自分の霊気を同期させる。 「あ、お兄さ――」  ビリっと霊符を破る。思わず、反射的にというか、蠅が飛んできたから叩き落としたという感じの神速で通信用の霊符をバラバラにした。 「あの、南雲さん」  唖然としている南雲の前で、霧乃は至って自然に言った。さっきまで自殺しようとか思っていたのが、急に吹き飛んでしまっていた。それとは全く別の痛みが頭を襲っていた。すっかり、意識の外にあったものを思い出し、霧乃はため息をついた。 「次から……こういう個人的な通信は、受け取らなくて……、いいですから」
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