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翌日、Ⅰ- Sの教室では異様な光景が繰り広げられていた。
「俺、伍条愛美っていうんだ!よろしくなっヴェルサス!」
昼休みになった途端に、現在学園中の注目の的の編入生とその取り巻きである生徒会が来襲したのだ。
愛美は扉を開けてヴェルサスの席まで突進したかと思うと、周囲の迷惑も顧みず大声で捲し立てた。
「なあなあ!一緒に食堂行こうぜ!」
「愛美、そんな奴を誘う必要はありません」
「そうだよぉ!おれらだけでいいじゃん~」
生徒会の連中は最初ヴェルサスの容姿に暫し見とれていたが、愛美がヴェルサスを昼食に誘うと、焦ったように宥め始める。が、
「何言ってんだよ!友達を仲間外れにしちゃいけないんだぞ!」
「ま、愛美…」
「愛美がそう言うなら、仕方ないな~」
「「感謝してよねっ!」」
いつの間にか話が纏まっていたらしい。
彼らの勢いに少々圧倒されていたヴェルサスは、遅れて頭の隅で考えた。
(どうやってターゲットたちに近づくか考えていたが、これでやりやすくなったな…)
元々、任務を達成する上で彼らとの接触は避けて通れない道だ。
そのために多少の面倒はやむを得ないだろう。
(それに…)
ちらりと集団からやや離れて立っている人物に目をやる。それと分からない程僅かな動作だったはずなのに、視線の先の生徒会長はにやりと嗤った。
(この男のことも気にかかる──)
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