act.3

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放課後。 結局昼食の時間はあのうんざりするような寸劇を延々見せつけられたが、いくばくかの収穫はあった。 ひとまずこれからは、絞り込んだ人物たちを監視していくことになるだろう。 ものすごく急いでいるわけではないが、面倒くさいので早く終わらせたい。 だがそう簡単にはいかないのが、〈禍〉の消滅という任務だ。 何故なら、基本的に天使が人間に化けている限り、実際に力を使っているところを見ることでしかその正体を見破ることができないからである。 天使と死神の力の関係を簡単に説明すると、まず天使は死神の気配が分からないし、力を使ったとしてもそれを感じ取ることはできない。 逆に死神は天使が力を使えば分かるのだが、その現場を見なければ誰が使ったかまでは分からないし、気配も感じ取れない。 今回のように学園の中に天使がいると判明している場合、あまり意味を成さないというわけだ。 だから“監視”という手段を取るしかないのだが── (…さて、どうするか) ──と、その時。ふとある予感が頭をよぎった。 「!これは…」 (学園の屋上か。他の気配は…ないな) 性急に辺りの気配を探る。誰もいないことを確認して、闇に呑み込まれるように姿を消した。
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