第1話 ~紗綾~

13/18
前へ
/18ページ
次へ
そう、そんなんじゃないの。 ただ、気が動転して軽くパニックになってたの。 桜花学園に入って間もない頃、まだこの土地に馴染めないあたしは、よくこのレトロでお洒落な喫茶店に通っていた。 敬ちゃんは母方の従兄で、ここでバリスタを目指してたのも知ってた。 そのうち綾斗先生と鉢合わせしてしまって、送ってもらった先で同じマンションに住んでることが分かった。 以来、あたしは早めに帰ってご飯を作って、綾斗先生が帰って来たら一緒食べるようになって……。 一緒ち過ごす時間が増えて、好きになった。 その時の相談に乗ってくれたのも、敬ちゃんだった。 あまり快く思ってないけど、何かと親身になってくれる。 ふと、放課後の光景を思い出して、目頭が熱くなった。 「ごめ……」 「ったく……」
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加