第1話 ~紗綾~

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差し出された手を握る。 綾斗先生の手って、こんなに大きいんだ。 あたしは比較的身長が低いから、どのパーツもみんなより小さい。 ……そっか、これが男の人の手なんだ。 先生の手、あったかい。 そのあったかい手が離れたのは、車に乗る時。 マンションに着くまでお互い何も喋らなくて、車の中は重い空気が立ち込めて沈黙が続いた。 言い訳って、何だろう。 別に深い関係じゃないから、先生には弁解させる義理もない。 そう考えながら、ずっと窓の外を眺めてた。
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