第1話 ~紗綾~

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両親は中学の時に交通事故で他界。 以来親戚の叔母夫婦に預けられるけど、どうしても馴染めずに家を出た。 家賃や光熱費など、生活に必要な物は揃えてくれて、毎月余分に仕送りしてくれてる。 優しい叔父さんと叔母さんの配慮だった。 2人には1人息子が居るから、気を遣って学校に近いマンションを購入してくれた。 両親の遺産は、会社の借金返済で全部消えた……。 あれから、2年……。 身支度を済ませて、棚に飾ってある写真立てに「行ってきます」と手を合わせる。 玄関に立つ度に思い出して泣くのは、少なくなった。 いつも母が欠かさず見送ってくれた朝。 あたしの胸の奥で、2人は生きているから。 側で見守ってくれていると思うから。
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