第4話

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 少女はタトに名前を呼ばれてしまったことに少し慌てるとタトの耳元で囁く。 「タト、わたしの今のコードネームは『餅』なの。だからそう呼ぶようにして」 「わ、わかった。架...餅はなんで私のコードネームを?」 「・・・ずっと見てたから」 「え?」 「なんでもない」 餅はマフラーを拾い上げると自分の首に巻き直した。 その間にユーシアはチャクラムを拾い上げて距離をとっていた。 「なるほどな、知り合いだったから助けたってわけか。これで邪魔されたことにも納得がいったぜ」 バラララララ! ユーシアがチャクラムを構えなおしながら餅に話しかけた瞬間突然大きな音があたりに響き渡った。それはヘリのプロペラの回転音だっ た。 巨大な黒い塊がホバリングしながら近づくとこちらにミサイルやバルカンを向けて止まった。 「・・・おい、あれって白軍か赤軍のか?」 ユーシアは恐る恐る二人に尋ねると全力で首を横に振った。 次の瞬間、ヘリに搭載されたバルカンがその銃口を回転させ始めた。 「逃げろっ!」 ユーシアが叫ぶと3人は走って近くの閉まっているスーパーマーケットに向かう。餅は二丁の拳銃を構えると扉を破りタトと共に中へと 入っていく。 しかし、ユーシアは途中で方向を変えて走っていく。 「どこへ行く気!?」 餅が驚いて入り口から顔を出して叫ぶとすぐにユーシアが何をしようとしているのかが分かった。鳩尾に肘鉄をくらって気絶した由羅を 助けようとしていたのだ。ユーシアは由羅を抱えようとするとヘリは銃口をそちらに向ける。それをそらすために餅は銃を発砲しヘリの 気を引き付けた。ヘリは再び方向を変えると餅の方向に向けてバルカンを発射し始める。このままじゃ入り口にユーシアが来れないと判 断した餅は入り口からユーシアたちとは逆方向に走って気を引き付ける。 その隙にユーシアは由羅を抱えて中に逃げ込む。それを見て餅も中へ逃げ込もうとスーパーの方に方向を変える。 「嘘でしょ!?」 餅は思わずそんな声を上げる。ヘリがミサイルを起動させていたのだ。そしてそれが餅の背中目がけて発射される。そして餅がスーパー の中に入るとほぼ同時に入り口に着弾し、スーパーの入り口は閉ざされた。
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